おすすめBL小説vol.19
『一途な独占欲』 [著]吉田ナツ [画]周防佑未
[著]吉田ナツ [画]周防佑未
ストーリー ★★★★
包容力 ★★★★
あまあま ★★★★
エロ ★★★
【イラストあり】 ☜重要ポイント
Renta!以外でも読めます👇
美意識高めで遊び人な取引先のハイスペック社長
×
ずっと親友に片想いしている真面目な美人税理士
〈攻〉伊佐 明信 | 〈受〉夏目 幸史 |
35歳 貿易会社 社長 艶のある美形 ハイクラスな生活 美意識が高くこだわりが強い | 23歳 税理士 日本人離れした美貌 (中学時代のあだ名は「ギリシャ」) 庶民的な生活 私生活では何事にも無頓着 |
失恋で傷ついた夏目が流されて一夜を共にしてしまった相手は取引先の社長だった・・・!?
伊佐のこれまでの相手とは違い、思い通りにいかない一途な夏目にハンター心を刺激され、だんだんと本気になってしまった伊佐。
最初こそ夏目の失恋の傷が癒えるのを大人の余裕で待っていたのだが・・・
👇 次の広告の後にネタバレ込みの感想がありますので、避けたい方はご注意を 👇
エレベーターで出会ったハイクラスな空気を持つ男
自分自身が日本人離れした整った顔立ちであるものの、本人の価値観としては”そもそも人間の顔など目鼻が揃っていればみんな同じじゃないか”という考え方の夏目は、都内の公認会計事務所に勤務して二年目の税理士である。
ようやく一年の経験を積んで、今年から更に大きい会社も担当していくことになり、自分に務まるのかと不安を抱えながら、その中でも一番規模が大きい会社へと挨拶へ向かう。
エレベーターでその会社の社員と思われる美形の男と一緒になったのだが、フレンドリーに話しかけられても初対面の相手と気軽に話すことが苦手な夏目は固くなってしまう。
挨拶を終えた帰りもまた遭遇してしまい、男はそこでも気軽に話しかけてくれたものの、再び夏目が言葉に詰まってしまう。
すると、その空気をフォローするかのように「もらいものだけど、よければどうぞ」と夏目には縁のないような老舗ホテルのバーの招待券を夏目に譲って男は去っていった。
その日の夜、夏目は13年も想いを寄せているいる親友、新倉智則に呼び出され、もしや彼女と喧嘩したとかいう相談かも知れない、とテンションがあがりつつ居酒屋に向かったのだが、そこで聞かされたのは”彼女の妊娠と自分たちの結婚”の報告だった。
もしかしたら・・・と望みを捨てきれずにここまで来た夏目だが、「結婚して父親になるのなら終わりだ」と憔悴し、あてもなく歩いていた。
すると目に入ったのが先ほど招待券をもらった老舗ホテル。
今までなら間違いなく足を踏み入れないところだが、夏目はこのとき普段の日常から遠く離れた場所に行きたかった。
しかし実際にホテルの中まで入ってみると、あまりの場違いな雰囲気にしり込みしてしまう。
やっぱり帰ろうかと考えていたところで、「あれ、君」と招待券を譲ってくれた男にまたも遭遇してしまう。
男も驚いてはいたが、「良かったら、一緒にどう?」なんて聞くわりには迷う隙も与えず、普段から人に命令し慣れている人間特有の有無を言わさないオーラで夏目も一緒にバーに向かうことになった。
夏目の様子を見て失恋したことを当てられてしまい、好奇心を滲ませる男になんて話したくなかったのだがいつの間にかうまく誘導され、胸に抱えた苦しい想いを話してしまっていて___?
美意識の高い男が美しい男に興味を持った、だけだったはずが___
まず最初の出会いですが、エレベーターで出会った男がこの物語の攻である伊佐です。
最初は本当に伊佐らしく優しくスマートに対応しただけだと思います。
声をかけてみれば上手く言葉も返せない夏目の様子に、微笑ましくは思うもそれ以上の感情は見せません。
礼儀としての冗談めいた誘いくらいはしますが、あくまでもそれは初対面の挨拶。
この辺りから遊びなれた大人なんだな、と感じます。
しかし、ホテルで偶然再会した時には完全に夏目をロックオンしています。
好みの美人と自分のテリトリーで再会すればそりゃそうなりますよね。
ただ、伊佐という男のすごさがこのバーのシーンでわかります。
”普段から人に命令し慣れている人間特有の有無を言わさないオーラ”というのは本編でも出てくる表現なのですが、あからさまな強引さはないのに他に選択肢がないんですよ。
遊びなれた大人の余裕と技術があるんですよね。
夏目の失恋話も、驚くほどの一途さに対する好奇心も隠してはいませんが、ですが真摯に話を聞いて慰めてくれます。
サラッと誘いをかけて、反応が微妙なら笑って一旦引く。
だけど経験のない純粋な夏目はいつの間にか部屋に連れていかれているし、せっかくスイートルームなんだからとなぜかお風呂も入らされているし、気づけば伊佐も裸で入ってきて・・・!?
そのまま、あれよあれよとベッドまで。
そんなわけあるかい、と初めて読んだ当初は思いました。
ですが、だいぶ大人になってきた今、この人みたいなタイプに目をつけられたらそうなるか・・・とも思います。
こういうなぜか逆らえないオーラの人って本当に居るんですよね。
しかも、流されてる自覚はうっすらあれど、「流されてもいいかな」と思わせる人。
要は伊佐が魅力的なんだと思いますが、けっしてそれだけではなく、とても優しく導いてくるんですよね。
躊躇を見せた夏目に対して言ったセリフがあります。
「現実逃避ってね、悪い事じゃないよ?どうしようもなくしんどい時は、自分を甘やかすのも大事」
『一途な独占欲』 [著]吉田ナツ 本文より引用
失恋して傷ついたからと言って、恋人でもない人と関係を持つことに抵抗を感じていた夏目に言ったセリフです。
初めての夜も、傷ついた夏目の心を癒すためだけにわざと怒らせるようなことを言ったり、嫌なことなど忘れられる程の快楽を与えようとします。
しかも、夏目が心だけでなく体も純粋(未経験)であると知ると最後まではしません。
単純に役得というのはあるのでしょうが、こんな良いひといますか!?ってほどに優しいです。
そんな一面があるからこそ、流されてもいいかな、と思ってしまうんですよね。
そして、最初はせっかくだし、美人だし、とりあえず今夜、と誘いをかけた様子の伊佐でしたが、経験のない夏目のベッドでの反応に様子が変わります。
この子を手に入れたいな、に変化するんですよね。
私は一週目はサラッと読むタイプなので、恥ずかしながら正直二週目でやっとその変化を感じ取り、内容としては一応最後まで読んで知っていたので、ここの第一変化にちょっとキュンとしてしまいました。
なかなか落ちない夏目。だからこそ伊佐のハンター心に火がついた??
そんなことを言う場面もあるのですが・・・
夏目の片想い相手である親友の新倉に対し、伊佐は対抗心を持ち始めます。
初めはその親友(丸顔)の写真を見ても、なぜ?これに?そんなにも?と疑問は持ちますがその程度でした。
ですが、何度言っても夏目が自分と付き合わず、しかもずっと想いを引きずっている様子が伊佐の余裕を奪い始めます。
この辺りから伊佐の可愛さが出てくるんですよ!!
ここが第二変化であるかも知れません。
夏目の片想いだけじゃない、二人の間にある価値観という壁。
美しい夏目の量販店ファッションが許せなくて高級な服をプレゼントをしようとしたり、高級車で迎えに来たりもするのですが、どれも庶民派である夏目の反応は悪いです。
むしろ逆効果。
ですが美意識が高くこだわりの強い伊佐も譲れません。口がうまいのでなんとか丸め込もうとするのですが、だんだんと伊佐が折れる場面が多くなってきます。
伊佐と夏目の2人で出かけていた日に伊佐に対して特別な想いを寄せていそうな相手と遭遇した時には、遠慮した夏目が帰ろうとして伊佐が拗ねる場面があります。
礼儀として妬くふりくらいしろ、という伊佐の言葉も、夏目には理解ができません。
夏目の中での伊佐にとっての自分は、「たくさんいる遊び相手のうちの一人ってだけ」と思っているのです。
ライフスタイルの価値観、恋愛の価値観の違いが二人の間にあり、伊佐は歩み寄ろうと頑張るのですが、夏目はそんな必要性すら感じていないので困惑します。
しかし、伊佐はそんなやりとりも嫌いではありません。
そんなやりとりを繰り返すうちに、伊佐の中で夏目の存在がお気に入りの手に入れたい子、から再び変化していきます。
自分になびかないから、ではなく夏目の人となりに惹かれていくのです。
この辺りから第三変化ですね。
「ユキは俺を好きになる」と、ことあるごとに宣言する自信家の伊佐。
最初は宣言です。
どうせそうなるよ、と余裕の宣言だったんです。
それが少しずつ意味合いが変わっていくのが、なんとも切ない。
ここは実際に読んで感じてほしいので、これ以上は掘り下げないでおきます。
レビューで多い、「こういう価値観の違うカップルはどうせ続かない」について私が思う事。
まず、私は基本的にBLに関してはそのフィクション性も含めてマルっと素直に受け止める派です。
最近の少女漫画は、自分の年齢、経験値とともに「そんなうまくいかないって・・・」と感じてしまうようになったので、あまり読まなくなりました。
ですが、もはやファンタジーとして楽しむBLやキュン度が高い少女漫画は好きです。
特にBLは自分に置き換えられないからこそ、素直に楽しめているような気もします。
そしてこの作品についてのレビューで多い「こういう価値観の違うカップルはどうせ続かない」についてなのですが、確かにはい、そうですよね。と思います。
生活スタイルなどの価値観の違いって、確かに問題になりやすいです。
それはきっと、多くの人がそうでしょう。
でも、この二人は”自分とは違う、相手の価値観も受け入れる”という考えが一致しています。
生まれ育った環境も違えば、みんなそれぞれ感じ方考え方も違うものです。
お互いが受け入れ、相手に強制はせず、時々は相手が望むなら、喜ぶならと合わせてみたりして。
そうして想い合いながら、お互いが自分らしく生きていけるならそれは上手くいくのではないかと。
どちらかが合わせる必要はないし、合わせてくれたら感謝こそしても、合わせなかったからと怒るような事でもない。
だってそれは悪い事ではなく、自分たちのこだわる部分の違いってだけだから。
口がうまいはずの伊佐が夏目を思い通りに出来ないのは、出来ないのではなく、するつもりがないからなんですよね。
伊佐は、初めての夜で夏目を気に入ったその瞬間から、一貫して相手の気持ちを尊重して関わっています。
そして夏目は・・・価値観の違いとかも気にしないくらい無頓着です(笑)
だから私は、この二人はとても相性が良いカップルだと思います。
SSでもそんな二人の日常が楽しめますよ!!
今回の記事は、今までと少しスタイルを変えてみました。
探り探りではありますが、皆さんが楽しめる作品をわかりやすく紹介していけたらなと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
kakurefu女子の本棚 ぽん
今回ご紹介した作品はこちら👇👇
コメントを残す